海無しの県の長野県でも、流通事情の改善で豊富な魚介類を食べることができます。
マグロなどの遠洋で獲れる魚は海沿いの地域と遜色ない。
しかし、近海ものの魚となると、やはり漁港近くでないと食べられません。
さらに、長野でお目にかかれないのがおいしい『イカの塩辛』。
人工の旨み調味料と保存料で作られた「塩辛もどき」は目にすることがありますが、イカの身と腸と塩だけで作った本物にはお目にかかれません。
高級食材を扱うデパートや専門店なら手に入るのかもしれませんが、庶民が通うスーパーでは高嶺の花。
ところが、この傾向は海沿いの地域でも現れていて、「ひもの」と大きな看板を掲げた土産物屋ではほとんどが「塩辛もどき」しか置いていません。
実家のすぐ近くの大規模なみやげ物街で試食した「塩辛もどき」のあまりの不味さに、うがいする場所をあわてて探しました。
地元のスーパーでも本物の塩辛を置いているところは僅かになってしまい、自家製で食べ続けている家庭以外には本物の味を知らない人が増えていると思います。
まして、もともと本物の味を知らない山国から観光に出かけて人たちは、「塩辛もどき」を本物だと思い込まされて買わされてしまう。
実家に帰省したときの楽しみの一つがおいしいイカの塩辛を買って帰ること。
市内にあるスーパーで一軒だけ自社製の本物のイカの塩辛を売っているところがあります。
しかし、過去形になりました。
一昨日、売り場に並んでいる塩辛を手に取ったら内容物に「調味料」の文字が・・・。
「もどき」に比べれば微量だし、保存料は入っていないので本物に限りなく近いのですが、やはり残念。
でも、味はもどきとは比べ物にならないくらいおいしかった。
長野でも、新鮮なイカが手に入ったら自家製塩辛を作れないことはないのですが、釣り上げた直後の活きたイカで作ったものにはかなわない。
ないものねだりだと言うことは判っていても、「塩辛もどき」が近所のスーパーで『本場○○産地直送』の横断幕で売られているのを横目に見るとむなしくなります。
売りに来ている人たちは本場から来ていることもあって、商品が塩辛というには程遠い味であることは百も承知。
本物の味を知らずにだまされて買っていく客を見て、ほくそえんでいるのか、申し訳ないと思っているのか。