2008年09月01日 08:49
29日に決定された総合経済対策は「安心実現のための緊急総合対策」と名付けられている。福田康夫首相が掲げる安心実現内閣に即してはいるが、その内容たるや、国民に安心をもたらすものとは言い難い。自民党が、来る総選挙に向けて有権者へ合法的な金銭授与(いわゆるバラマキ)に走り始めたことを、真っ向から批判した毎日新聞に拍手!
それどころか、露骨なまでに総選挙を意識した人気取り施策となっている。
政府・与党が決めた総合経済対策に、所得税や住民税から一定額を差し引く「定額減税」を実施する方針が盛り込まれた。本格的に実施するなら兆円単位の財源が必要になる。だが、それだけの財源を確保できるめどはまったく立っていない。こちらは自民党のコバンザメ政党=公明党の姑息な人気取りを批判している。
これを押し込んだのは公明党だ。定額減税は所得が低い人ほどありがたみが出る。公明党には、かつての地域振興券や児童手当の拡充と同じように、党の実績として選挙で売り込みたいという思惑があるのだろう。
所得税・住民税の定額減税について、今年度中の実施を決めたのはいただけない。
定額減税は、所得金額にかかわらず税金を一律に軽減する、典型的なばらまき型の減税だ。1998年度に4兆円規模で実施されたことがある。
景気浮揚の効果に乏しく、財政悪化を招く一因になった、というのがこの時の教訓だ。このため、政府・自民党は最後まで導入に慎重だった。
しかし、低所得者向けの対策を強化するよう求める公明党に押し切られた。