6月29日、伊那市役所でごみ焼却施設の用地選定委員会が開催されました。
これに先立って、ごみ問題の講演会があり、ごみ処理の現状が語られると共に、処理施設建設の問題点も指摘されました。
この中で力説されたのは、住民参加と情報公開です。
行政に求められるこの二点の重要性は、あらためて言うまでもないはずですが、伊那市においては敢えて釘を指しておく必要があったのだとあとでわかりました。
用地選定委員会を傍聴した伊那市民の話を総合すると、引き続き市役所会議室で行われた用地選定委員会では、事務局である伊那市と伊那市議会が委員会の主導権を握り、市民の声を押しつぶしてしまったからです。
極めつけは、委員長選出の場面。
事務局はあらかじめ下打ち合わせをして、都合の良い人選の根回しがしてあります。
しかし、委員の中から立候補の申し出があり慌てました。
すかさず、市長の指示と議員からの声で「先に提案があったのは立候補ではないから、話し合いで選出する」と押し切ってしまいました。
これだけを見ても、この委員会が市民の意見を反映させるものではなく、「市民が参加した形」を作り出すためだけのものであることが裏付けられました。
一般的な市民参加型の委員会では、委員長を選任しようとしても立候補が出ることはあまりないので、次善の策として事務局が推薦したり、仮の選考部会で適当な人選をすることはあります。
しかし、あくまでも立候補や推薦がなかった場合のことであって、名乗りが上がった場合は、そちらが優先するのは当然です。
「委員長は委員の互選」と設置要綱に明記されているのですから、市長が指図して密室の談合に持ち込むのは本末転倒です。
その後の話し合いも、発言のほとんどは事務局と市議に偏り、市民の声は封殺された状態が続きました。
傍聴していた伊那市民は、いつものこととはいえ、市民不在の市民参加に脱力感で一杯になったそうです。
さらに問題なのは、「決定方法が多数決による」と念を押されたことです。
委員の1/3は市議で、残りのほとんども市長が委嘱した身内です。
市民の声が反映される委員構成とは程遠い状態での多数決による採決が、どのような結果をもたらすかは分かりきっています。
マスコミもこれらの実態を明らかにする姿勢を持ち合わせない状況では、伊那市長の意向に沿った用地選定となるのは既定路線だと思われます。