フランスでは来年から炭素税が導入される見込みだ。
欧州の主要国で炭素税を本格導入するのは初。
税は、CO2排出量1トン当たり17ユーロ(約2200円)で、ガソリンの場合、1リットルあたり約4ユーロセント(約5円)の課税となるという。
税率は段階的に引き上げる方針が示されている。
日本では明日、民主党政権が誕生し、高速道路が無料化へ動き出す。
自動車の台数が増えてCO2排出が増すと、屁理屈をこねる専門家が跋扈(ばっこ)することは目に見えている。
こういったエセ専門家は、道路の有料化で二酸化炭素の発生を抑制しようとすることが筋違いであることに気が付いていないようだ。
ガソリン(または軽油)由来のCO2を削減するには、消費量をいかにして抑えるのかが問われる。
道路を有料化して走行の機会を減らそうとするのでは、道路も自動車も有効に活用されずに経済損失が大きい。
燃料の消費に問題があるのだから、燃料そのものに炭素税を賦課して燃料消費量を減らすことが本論だと思う。
例えば、この伊那谷でBDFで走るディーゼルエンジンの自動車の場合、てんぷら油の回収からBDF処理してBDF燃料として供給される量が増加すれば、資源の有効利用が増進する。
軽油に高額の炭素税が賦課されて、価格差が広がればさらに消費が拡大する。
カーボンニュートラルだし、廃棄物の有効利用だし、生産者がNPOだったり障害者施設だったりで経営基盤の強化に直結する。
いいこと尽くめだ。
ところが、道路の有料化ではBDFの消費量拡大には何のメリットもない。
たまたま日本の高速道路料金が高額で、交通量を抑制していたことを流用して、二酸化炭素の抑制に利用しようとする考え方が間違っている。
道路の有料と二酸化炭素排出量は、はっきりと切り離して考えるべき問題だ。
これを混同している人たちは、地球温暖化防止を論理的に考える思考力が乏しいと思わざるを得ない。
20年後、ガソリン自動車が姿を消して、EVや水素自動車、燃料電池車が一般に普及しているだろう。
その時に道路の有料化で温室効果ガスが削減できるのかな?
先のことを考えればはっきりとしている。
無料の道路と有料の道路があれば、少し無理をしてでも無料のほうに車が集まり、渋滞が発生する。
交差点で信号待ちをする列が長くなる。
自動車由来の二酸化炭素の発生は、これらの要因がほとんどを占めている。
だから、当たり前のことだが、道路は無料が原則だ。
高速道路の無料化と地球温暖化を結び付けようとする暴論に与しないようにしよう。
本論は、自動車の脱化石燃料だ。
高速道路の無料化で減収になる分を、丸々、炭素税で上乗せすればいいと思う。
暫定税率を廃止して、燃料にかかる租税を国民に分かりやすくしてもらいたい。
道路を造るために自動車燃料から税金を徴収してきた自民党型ではなく、化石燃料に起因する温室効果ガスの発生で生じる社会的なコストのために課税してもらいたい。
民主党には、新人議員の中に恩を仇で返すような箸にも棒にもかからない欠格者もいるが、中堅には頭の良いすぐれた議員が多くいる。
新政権にエセ専門家の思い違いを正してもらいたい。