環境、文部科学両省と気象庁は9日、日本の地球温暖化に関するリポートを公表した。
20世紀末と比べた今世紀末の全国の平均気温は、地球温暖化対策を世界的に強化した場合は2.1度の上昇にとどまるが、対策を講じない場合には4.0度上がると予測している。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2007年にまとめた第4次評価報告書のデータに基づき分析した。
国内で現在観測される真夏日は全国平均で年間40日ほどだが、リポートでは、対策を強化しない場合、今世紀末には80日にまで増加すると見込んでいる。 =10月9日 時事通信=
普通に生活している人にとって平均気温が2.1度上がろうが、4度上がろうが実感がないと思う。
しかし、米をまじめに作っている農家にとっては、ものすごく脅威だ。
うちでは、米の収穫までに150~160日を要する。
栽培期間中の平均気温を積算すると3000~3200度になる。
温暖化防止を強化しても積算気温は10%も上昇してしまう。
対策しないと積算気温は20%の急上昇が見込まれる。
米が速く育っていいじゃないかと思われるかもしれないが、植物はこれほど急激な変化に即応することはできない。
また、常に温暖化するのではなく冷涼と温暖の波も激しくなるから、不作だったり、さらには凶作に陥る危険性も高まる。
熱くなるとを予想して高温耐性の稲を育てている年に、冷害が来たら目も当てられない。
地球の温暖化を実感として感じていない多くの人たちは、食糧不足に陥って初めて気が付くのかもしれない。
自家用米を作っている農家の多くが、新米を食べるのは一年後としていると思う。
裏を返せば、一年分のストックがあるということだ。
凶作が来ても困らないための農家の知恵だ。
しかし、一般の消費者は米不足になると途端に口に入れられなくなる。
1993年の米不足では需要の8割の収穫しか得られなかったことで、「米騒動」が勃発した。
当時、東京に暮らしていたが国産米が全く手に入らない状況に遭遇した。
八割の収穫があってもあれほどの騒動になるのだから、さらに深刻な凶作に見舞われたら想像を絶する状況に陥るだろう。
食べ物が不自由なく手に入れられる日本は、地球上でも特に恵まれた国だ。
世界中の食料を金の力で買いあさって、その三分の一を無駄に廃棄している。
廃棄処分される約2000万トンは、世界で途上国に食糧援助される量の3倍に匹敵する。
日本人は、地球上の資源にあまりにも無頓着な国民だ。
地球温暖化にも非協力的な人が少なくない。
CO2と温暖化がどうのこうのと屁理屈を並べて、脱炭素社会の実現を阻害する迷惑な人たちも大勢いる。
そのほとんどは、金で食い物を手に入れているはずだ。
自分の命の糧が「天の恵み」で得られていることに気がつかない哀れなキリギリスたちだ。
温暖化防止を進めても気温の上昇は止まらない。
命の糧がいつでも得られるという保証がない時代が来る。
百姓の真価が発揮される日が遠くないことは、決してうれしいことではない。