田舎に暮らしていて不便だなと実感するのが公共交通の貧弱さ。
それに輪をかけて交通インフラを整備する能力のない行政。
我が家の近くを通る路線バスも、ほとんどの場合一人乗っているかどうかといった状態だ。
こまちゃんバスといって主に老人の足として提供することを目的としているようだ。
そこが勘違いのもとであって、公共交通を最も利用するであろう交通弱者は、市外に通学する高校生だったりする。
駅へ歩いて行けない距離に住まいがある場合、ほぼ100%の家庭が自家用車で送り迎えしている。
自転車やバイクという手もあるが、秋から春までは寒くて凍てついてしまうし、女子の場合は夜道を走らせるには今のご時世は危険すぎる。
こまちゃんバスを利用しようと思っても、通勤通学電車との連絡が全く無視されているので使えない。
路線を検討している人たちは、住民のニーズを自分たちの足で集めることはせず、コンサルタントに丸投げされた当てにならないアンケートだけが頼りだから、効果的な路線を作れるとは思えない。
現在も『駒ヶ根市地域公共交通協議会』という検討会が組織されて路線の見直しをしているというが、実行部隊となるワーキンググループが使い物にならないらしい。
ワーキンググループのメンバーがそう言っているのだから間違いはないだろう。
他の市町村の精力的で実効性ある取り組みと比べると、駒ヶ根のレベルの低さにはあきれてしまう。
下伊那では、飯田市地域公共交通改善市民会議が参考になる。
路線ごとに部会を設けて、実情に即した検討に取り組んでいる。
高校生の利便性を高めるために通学定期の上限を1万円に値下げするなどの、実効性のある提案が実現に結びついている。
家族による自家用車の送迎の増加という現状を認識し、これを打開するための対策として考え出されたものだ。
送迎を追認してしまっている駒ヶ根市とは雲泥の差があると言わざるを得ない。
市長がリーダーシップを発揮すれば、この程度の問題はそう難しくないはずだが、杉本・駒ヶ根市長はどうにもやる気がない。
市民の声という形でなければ市の重要施策を決められない状態がずっと続いている。
市長選の時から操り人形が義務付けられていたから仕方がないが、曲がりなりにも市長なんだからもうちょっと勉強して、自分の意思で駒ヶ根市をリードする姿勢を発揮してもらいたいと思う。
強引な中原前市長の手法もほめられたものではないが、何でも人任せの杉本市長のありかたは市の職員の士気にも影響している。
市長選の最中、市職労と対立候補が交わした密約に杉本候補(当時)は、「私が市長になったら市職労には厳しくいく」と言っていた。
ところが市長に当選した途端に、批判していたはずの市職労と、あろうことか密約を交わしたという。
選挙に勝つためには嘘も方便なんだと。
選挙の際に示されたマニュフェストも、本人が作ったものではなくて支援者が考え出して作成したもの。
整合性のないマニュフェストだったからと、本人に問いただすとしどろもどろだったことを思い出す。
市長になってからも議論のテーブルにはなるべくつかない。
重要案件で職員を差し置いて市長自ら説明に立つ姿を市民の多くは「一生懸命だね」とほめてくれるだろうが、市長がすべきは説明ではなく決済だ。
市民のニーズをどうやって掘り起こし、改善策に結び付けていくのかという基本的なプロセスに対して杉本市長はビジョンを持たない。
100人委員会という形で市民に丸投げして、提言されたものから取り組んでいるという。
市民協働の形はとっているが、市長のビジョンがあって、それに則して市民の知恵を借りるというのが順番だろう。
今の駒ヶ根市の市民協働は、行政の下請けとして便利に使いまわされているだけだ。
ほんとに必要とされる行政の案件は、なかなか手につかないのが現状だ。
市民が使える路線バスになるかどうかは、もう少し様子を見てみないとわからない。
市民会議では通学電車と路線バスの融合について提言する用意がある。
市民から提言されたら無視することはできないだろう。
しっかりやれよ、杉本幸治。