日本の道路は何のために作っているのだろうか。
道路を所管する前原誠司国土交通相と小沢・民主党幹事長氏は高速道路の新料金制度見直しをめぐり、激しい応酬を展開したばかり。
小沢氏は会合で「前原氏は道路建設では費用対効果(を重視する)と言っているが、役人がつくり出したものだ。雇用など全体を考えてやらないといけない」と指摘した。
すなわち、道路は建設業者の雇用を目的とした公共事業の副産物という考え方だ。
だからこそ、不急不要でも作り続けられる。
国民が利用するために作る道路よりも、道路族を潤わすための資金源として道路予算が使われている。
自民党政治そのものではないか?
民主党は「道路(コンクリート)から人へ」のはずだったが、少なくとも小沢さんは違うようだ。
選挙に勝つためには道路建設は有効なアメになるからだろう。
一方、道路を使う自動車は、走った分だけ排気ガスを出す。
高速道路が無料化されると排出される温室効果ガスは減るというふれこみだった。
ところが、環境省の試算では、逆に300万トンも増えるのだという。
無料になった分だけ高速道路を走る車が増えるのだからある程度は予想できた。
しかし、国土交通省国土技術政策総合研究所は、07年度に首都高速、阪神高速を除く全線で終日無料化した場合で、高速道路への移行で一般道の混雑が緩和されると見込んで、年間約310万トン削減すると試算していた。
環境省の試算と違って、道路利用者を一定として、新たな利用者や鉄道から高速道路への転換は考慮していなかったことが、今頃になって明らかになった。
お役人の勘定は当てにならないという小沢さんの言い分が当っている。
だが、高速道路は車を走らせるために作るのが本来の目的だ。
自民党や小沢さんは建設業者の血となり肉となる糧が道路建設かもしれないが、本末転倒である。
作った道路は使わなくてはならない。
車がたくさん走るから排気ガスが増える、という当たり前の理屈を覆したいなら、作らなければいいだけだ。
では作ってしまった道路を自由に使わせつつも、排気ガスを減らそうと思ったらどうすればいいか。
答えは単純である、走るための負担を重くすればいい。
高速道路の有料料金は一義的にはこの目的に沿っている。
しかし、高速が有料で一般道が無料なのは、屁理屈をこねくり回さない限り道理が通らない。
高速道路も一般道も公平に排気ガスを減らすには、燃料に炭素税を課すことが一番効果的だ。
暫定税率の存続のような姑息なことはやめて、ガソリンにドカンと炭素税を課税すればいい。
道路はどこも自由に走れるが、遠出をすればガソリン代が多額になる。
化石燃料を使ったら炭素税収として温暖化対策費に回される。
道路料金は、次の道路建設に回される。
どちらの有料化が効果があるのかは、考えれば分かることだと思う。