長野県内で、ごみ処理に対する新たな動きが活発化してきました。
一つは、生ごみを積極的に堆肥化して資源として有効利用する動き。
最も新しいところでは、茅野市が家庭から出た生ごみを堆肥にリサイクルするビニールハウス施設「蓼科有機センター」を同市玉川に開所した。
計画では、年度内に1000世帯分の生ごみを堆肥にする。
1棟の広さ約440平方メートルのビニールハウス2棟で構成。
1棟で生ごみやそば殻、もみ殻、牛ふんを新たに購入した機械でかくはんし、別の1棟でかくはんした物を発酵させ、製造に必要な材料を保管する。
一方お隣の諏訪地域では、ごみに含まれる資源の活用とは別方向に、高温で溶融処理するごみ焼却施設が計画されています。
諏訪南行政事務組合が富士見町休戸に建設を計画する焼却灰溶融施設ですが、弁護士の組織「自由法曹団県支部」は2日、現地を視察した後、同町の若宮構造改善センターで地域住民との交流会を開き、意見交換しました。
環境会議・諏訪、環境ネットワーク茅野、八ケ岳周辺のごみ問題を考えるネットワークなど住民団体6団体の呼び掛けで開いたものです。
住民からは「飲料水の汚染が心配。危機感を持っている」と訴え、「建設差し止めの住民訴訟が必要では」との意見が出されています。
主催した松村弁護士は「訴訟を目的とせず、世論を高めていくことが大事」との考えを示し、「建設費、ランニングコストは高額で、ごみの分別収集、減量化とは逆の方向にある施設」と建設計画への疑問を示しています。
近く見解をまとめ、発表する方針で、自由法曹団県支部として同問題に取り組む姿勢を明らかにしています。
何でも燃やせる便利な焼却炉として、導入する自治体も少なくありませんが、温暖化防止や有用メタル資源の枯渇が喫緊の課題となっている現状とはかけ離れた、自治体関係者の無責任体質の表れでもあります。
溶かして得られたスラグが有効活用できると言われていますが、金属は純度が命。
異物が混入したスラグは資源としての価値はものすごーく低いものとなります。
希少金属の枯渇は、地球温暖化ほどには社会問題化していませんが、知る人ぞ知る近代社会の根幹を揺るがす大問題としてそのうちにクローズアップされます。
その時になって、焼却に溶融炉を採用したところでは、資源消滅施設のレッテルを貼られることが予想されます。
燃やしているごみのほとんどが実は資源です。
先進国で最も資源を持たない日本が、最も焼却炉をたくさん所有しているのは、全くの矛盾です。
国策の間違いからきているのですが、地方自治体の意思で正すことができるのですから、住民が正しい知識を備えて自治体に働きかけることが必要だと思います。