今朝の信濃毎日新聞に「日本の農業はどこへ」と題し、竹中平蔵・慶応大教授と鈴木宣弘・東大大学院教授の主張が掲載されていました。
農業に造詣が深い鈴木氏は、日本の農業が持つ多面的な役割を理解しているので、TPPと命を守る農は別との論旨です。
当たり前のことです。
しかし、本当の農業を知らない経済学者は、農業を産業のひとつとしか見ない。
市場開放や規制緩和が万能だと信じる竹中氏の言い分を見ていると、机上の空論を偉そうに唱える学者だなと思います。
昔、石油から肉を作る当話があったけど、竹中理論だとこういう方向性になりますね。
アラブで新しい油田が見つかり、一時的に原油価格が下落した時期のことです。
時期を同じくして、天候不順から作物の不作が続き、畜産用のえさ不足などから、安い石油から肉を作るというプロジェクトができた。
研究チームは石油を餌とする微生物を繁殖させ、そのたんぱく質を取り出した。
しかし、その後の原油価格の高騰で普及はしなかった。
栄枯盛衰を繰り返す工業の感覚だと、農業全体が石油の肉と同じ道をたどることになります。
頭でしか物事を捉えない竹中のような人種がこういった理屈を押し付けています。
しかし、生物の環境について人間がすべて分かっている訳ではないのだから、目先の理屈では命にかかわる重要な課題を論じてはならない。
米ひとつとっても、すべての成長過程と肥料の関係性すら分かっていない。
経験的や統計的に、微生物と土壌、そして肥料成分の関係性が認知されているに過ぎない。
すべての農産物の中で、もっとも研究が進んでいる米でこの程度の現状なんです。
人間は自然に生かされている。
自然を人間がコントロールできるとの思い上がりが、破滅をもたらすことは歴史が証明しています。
農業は、一面では産業ですが、多面的な自然環境との共生の役割を担っているところが、他の産業とは大きく異なる。
信濃毎日新聞は、二氏の対論を併記するだけにとどまらず、鈴木氏の論調を、もっと読者に訴える演出が必要だったと思います。
今後の記事で、竹中理論が日本の自然環境を破綻に導くことを追記してくれることを願います。
**今日の太陽光発電量 48.1kwh
-第一発電所 24.3kwh
-第二発電所 23.8kwh
午後3時ごろまでは快晴だったが、日没前の1時間で厚い雲に覆われた。