住宅の解体現場からお宝をいただいてくることがあります。
太陽熱温水器や薪の風呂釜など、我が家のエコロジー生活に欠かせない設備も、廃棄処分になる寸前に、「こんなの出たけど、いらない?」との、ありがたい電話で第二の活躍の場が与えられたものです。
現場に出向いたついでに、捨ててしまうには惜しい逸品も頂戴してくることがあります。
これらはオークションに出せば、使ってくれる人がいるかもしれない。
不用品のオークション出品は、ほとんどの場合は稼ぎにはなりませんが、ごみが資源に変えられる絶好の機会です。
そんな不用品の中にレコードがありました。
そのまま出品してもいいのですが、音がちゃんと出るのかどうか確認しないと後々トラブルのものです。
かと言って、レコードを再生するにはレコードプレーヤーが必要です。
しかたなく、倉庫の片隅で埃をかぶっていたレコードプレーヤーとアンプを持ち出してきて設置することにしました。
30年以上も前の『テクニクス』のレコードプレーヤーは、当時の最先端だったダイレクトドライブやフルオート操作。
さらに古いアンプはKA-7300で、1975年にトリオ(現ケンウッド)が発売したプリメインアンプ。
L、R独立に電源トランスを搭載した左右独立電源のアンプで、この後「独立電源ブーム」を巻き起こした独立電源アンプの第1号機でした。
KA-7300は中級機ながら左右独立の電源部を中心に、各部に音質重視の設計が行われた高性能アンプとの高評価を得ていた。
高校時代に一人で秋葉原まで出かけて行って買った想い出の製品です。
押入れの奥からスピーカーコードを探し出し、おそるおそるすべての配線を接続します。
レコードをターンテーブルに載せて、アンプの電源を入れ、セミオートでアームを操作する。
レコード針が盤の溝をトレースする緊張の瞬間。
ザーという音とともにカートリッジが滑ってしまいました。
針の保護カバーがついたままだったんです。
針圧やアンチスケーティングの設定値も忘れていたので、やはりタンスの奥から取扱説明書を探し出して確認します。
セッティングが完了したところで再びチャレンジしますが、左側の音が聞こえてきません。
20年以上使われていなかった電気製品なので接点が接触不良を起こしている可能性が高い。
すべてのレバーとノブを動かしてみると、トーンコントロールのターンオーバー切り替えレバーの操作で雑音が入ります。
雑音が消えるまで何度も上下させて接点を復活させました。
30年前の音が復活した瞬間は、音質どうのこうのは関係なく、感動しました。
一方で、オークション出品の商品確認だけのための臨時復活ではもったいないと思いながら、音楽聴くだけならCDで十分だなと思ってしまう。
まだまだ、生活に心のゆとりが足りないのかな。