多額の選挙資金の存在が地方議会への新たな人材の参入を阻んでいます。
費用をかけなければ選挙に出られないわけではありませんが、資金力が得票に結びつく度合いが非常に高いので、実際の選挙では素手で戦っても当選できる可能性は非常に少ない。
公職選挙法の制限事項を眺めていると、底辺にあるのは、金持ちの候補者による豊富な資金に任せた派手な選挙を押さえ込むことにあるように見えます。
選挙には金を使うのが前提として捉えられていて、一定の選挙資金が当然の出費になってしまっています。
発想を180度転換してみてはどうだろうか。
選挙に立候補する者には公共の広報媒体ができる限り協力し、個人の資金で広報活動に取り組まなくても有権者への情報伝達に不足がないようにするのがいい。
金持ちなら、これらに加えて既成の選挙戦術を取り入れるかもしれないが、有権者から「やり過ぎ」とバッシングを受けるような雰囲気が出来上がれば上々です。
このためには、公共放送であるNHKをはじめとして、テレビ、新聞、ラジオが重要な役割を果たします。
議員を選択するということが社会基盤の向上につながる公共事業だという意識をもって、情報媒体の義務として取り組むことが必要です。
個人のパフォーマンスが当落を決める現在の選挙制度に対して、報道機関として積極的に変革を求めるくらいの高い意識があってもいいはずだと思います。
有権者にも意識変革が求められます。
地元の名士や実力者が議員になるものだという既成概念や、地域の利益代表だから地元の了承なしには立候補させないといった狭い了見では、優れた人材を議会に送り込むことができません。
そもそも、議員に優れた資質を求めているのかどうかも疑問ですから、自治体を良くも悪くもするのが議会だという問題意識を持ってもらいましょう。
誤解されないように断っておきますが、地元の名士や実力者が政治の資質に乏しいといっているのではありません。
さらに優れた人材が他にもいるのではないかという想像力を働かしてもらいたいのです。
特に、若手の有能な人材がその辺にごろごろしているはずはなく、多くの場合は民間企業でバリバリと働いています。
地盤も看板もカバンも持たない、優れた資質を秘めた人材が一般企業のサラリーマンの中にいたとしても、現在の選挙制度ではリスクなしに一歩を踏み出すことは不可能に近い。
だからこそ、リスクを限りなく少なくして、サラリーマンの職にありながら議員になれるとしたら、地方議会への人材流入の可能性が飛躍的に向上します。
サラリーマンに限らず、25歳以上なら家庭の主婦や学生でも議員になれるハードルが思いっきり下がる。
子育て世代の母親が席巻する託児所付きの地方議会が誕生するかもしれません。
ワクワクしませんか?