福島第一原子力発電所の事故で、食品へ不安が高まっている。
牛乳やホウレンソウなどの農産物が放射性物質に汚染されていることがわかったからだ。
政府によるホウレンソウや原乳などの出荷停止が始まった。
暫定基準というあいまいな表現が気になるが、安全基準を適切に適用することが風評被害の蔓延を防ぐためには重要であると思う。
これまでにも述べてきたように、CTスキャンなどと比較するごまかしの手法は一切止めて、正確で迅速な情報開示に務めるべきだ。
災害発生直後からマスコミに登場していた楽観的な学者の見込み違いが、国民の不安を増幅させている。
最近になってようやく、現実を直視した専門家の意見がマスコミに登場するようになった。
大阪大学名誉教授の野村氏は、信濃毎日新聞紙上で警鐘を発している。
「牛乳は一年間摂取し続けてもCTスキャン1回分程度」だから安全という政府の発表に異議を唱えたい。医療被ばくは健康へのメリットが多いから、規制が除外されているのであって、安全といっているのではない。しかも、CT検査はエックス線の外部被ばくで、これくらいの線量で発ガンの心配はまずない。
これに対し、食物は内部被ばくを起こす。住民、中でも子どもに問題なのはヨウ素131だ。ヨウ素は甲状腺に集まり、ベータ線を出す。半減期が8日と短くても、成長期にある子どもには、取り続ければ危険性が無視できない。
被害は陸上の農産物にとどまらない。
放射性物質による汚染は海にも広がりつつある。
海水から規制値上回る放射性物質…福島第一原発
東京電力によると、福島第一原子力発電所の放水口近くで21日、海水をサンプリング調査したところ、国の規制値を上回る放射性物質が検出された。 放射性ヨウ素131は規制値の約126倍、放射性セシウム134は約25倍だった。東電は原子力安全・保安院と福島県に連絡した。 同原発3、4号機への放水や雨で放射性物質を含んだ水が海に流れた可能性があるという。 =読売新聞 3月22日=
汚染物質による環境汚染が濃縮するパターンの一つが食物連鎖にある。海洋では、特に顕著だ。
放射能汚染が騒がれている農産物で多く検出されているヨウ素131は半減期が8日と短いが、海洋汚染で問題になるのは半減期が非常に長いセシウムなどだ。
セシウム134が2年、セシウム137は30年が半減期とされている。
プランクトン→小魚→中型魚→大型魚と放射能が蓄積されていくプロセスは既知の通り。
風評被害大きさは、災害の大きさと情報のあいまいさに比例するといわれる。
大震災と大津波、さらに原発事故の三重苦が重なって、災害の大きさは未曾有である。
風評被害を防ぐ決め手は情報公開が握っている。
国民が疑心暗鬼に陥る前に、日本政府は世界中の協力を仰いで放射能汚染の影響を受ける恐れがある食品の検査体制を整えることが求められます。
◇ ◇
私の出身地は港町で、実家は海から50歩のところにある。隣家は漁船を作る船大工だった。
地元の漁師さんたちの魚介類に向ける不安なまなざしが察せられる。
**本日の発電量 41.8kwh
-第一発電所 17.0kwh
-第二発電所 24.8kwh
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