2016年09月04日
真夏の長距離走行でも電池温度をレッドゾーンに入れない走り方 4
リーフで真夏にレッドゾーンに入れずに高速走行する方法について3回に分けて概要を紹介した。
ついでなので、さらにち密に解析を試みる。
余談なのだが、連続で高速道路を千キロも走れない車は、乗用車ではリーフくらいしかないのではないかと思う。
半世紀前のガソリン乗用車ならオーバーヒートしたかもしれないが、現代の日本製乗用車で高速道路を流れに乗ってオーバーヒートで走行に支障が出る車は皆無だろう。
電気自動車だから大目に見てくれると日産は考えているかもしれないが、厳しく見れば現在のリーフは欠陥車だと思う。
今回、紹介している走行技は欠陥を補うものであって、技を必要としない当たり前に長距離を走れるEVを日産には迅速に提供して欲しいと思う。
-----------------------
さて、本題に戻るが、電池温度の上昇を抑えるには充電時間をできる限り短くすると効果があると紹介してきた。
事実、充電時間の経過とともに電池温度が高くなる。
しかし、長時間充電を続けると別の現象が現れる。
充電時間の経過とともに電池温度の上昇が鈍くなることがある。
その実例を、図-4に示す。
<図-4>

道の駅象潟で充電した時のことだ。
ここには出力44kWの大型充電器が設置されていた。
大型の充電器だけあって電池温度の上がり方も早い。
しかし、半ばあたりから電池温度の上昇が緩やかになる。
一分単位で温度上昇幅を図示したものが図-5になる。
開始から13分までは電池温度の上昇幅(一分前の電池温度からの上昇値)が増えているが、それ以降はほぼ一定して上昇幅が小さくなっている。
充電時間は長い方が電池温度の上昇に悪影響を及ぼさないということになる。
<図-5>

時間の経過とともに充電出力が絞られる影響も加味して図示すると図-6になる。
充電時間が10分前後から出力が絞られるために、出力に対する電池温度の上昇は20分あたりまで続く。
しかし、20分を超えると出力あたりの温度上昇は徐々に低下している。
<図-6>

以上の現象から、数分で充電を切り上げることができない状況では、一般的な充電時間の制限となっている30分、さらには他車に支障がなければお代わりして充電を続けた方が温度上昇から見た充電効率は高くなる可能性がある。
素早く移動するために有効な短時間充電だが、電池温度への影響を考慮すると長距離移動の際には必ずしも有効であるとは限らないということも考えられる。
今回のロングドライブでは、道の駅象潟における充電が電池温度計がレッドゾーンに入る瀬戸際であった。<図-1>

ここの充電を短時間で切上げて、少し先の日産で再び経路充電した方が充電の時間効率は良くなるはずだが、仮に早く移動しようと高速道路(日本海東北自動車道)を利用していれば電池は冷却されずにレッドゾーンに入っていたと推察される。
結果として昼食で50分間滞在しながら充電したことで電池の温度上昇を最小限に抑えることができた。
電池温度がレッドゾーンに入るきわどい状況では、高速道路と一般道の使い分け、ながら充電の長短が大きく影響する。
気にし過ぎると不安なドライブになってしまうが、こうしたリーフならではの欠陥をユーザーの技で克服するのもドライブの楽しみの一つだとも言える。
ついでなので、さらにち密に解析を試みる。
余談なのだが、連続で高速道路を千キロも走れない車は、乗用車ではリーフくらいしかないのではないかと思う。
半世紀前のガソリン乗用車ならオーバーヒートしたかもしれないが、現代の日本製乗用車で高速道路を流れに乗ってオーバーヒートで走行に支障が出る車は皆無だろう。
電気自動車だから大目に見てくれると日産は考えているかもしれないが、厳しく見れば現在のリーフは欠陥車だと思う。
今回、紹介している走行技は欠陥を補うものであって、技を必要としない当たり前に長距離を走れるEVを日産には迅速に提供して欲しいと思う。
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さて、本題に戻るが、電池温度の上昇を抑えるには充電時間をできる限り短くすると効果があると紹介してきた。
事実、充電時間の経過とともに電池温度が高くなる。
しかし、長時間充電を続けると別の現象が現れる。
充電時間の経過とともに電池温度の上昇が鈍くなることがある。
その実例を、図-4に示す。
<図-4>

道の駅象潟で充電した時のことだ。
ここには出力44kWの大型充電器が設置されていた。
大型の充電器だけあって電池温度の上がり方も早い。
しかし、半ばあたりから電池温度の上昇が緩やかになる。
一分単位で温度上昇幅を図示したものが図-5になる。
開始から13分までは電池温度の上昇幅(一分前の電池温度からの上昇値)が増えているが、それ以降はほぼ一定して上昇幅が小さくなっている。
充電時間は長い方が電池温度の上昇に悪影響を及ぼさないということになる。
<図-5>

時間の経過とともに充電出力が絞られる影響も加味して図示すると図-6になる。
充電時間が10分前後から出力が絞られるために、出力に対する電池温度の上昇は20分あたりまで続く。
しかし、20分を超えると出力あたりの温度上昇は徐々に低下している。
<図-6>

以上の現象から、数分で充電を切り上げることができない状況では、一般的な充電時間の制限となっている30分、さらには他車に支障がなければお代わりして充電を続けた方が温度上昇から見た充電効率は高くなる可能性がある。
素早く移動するために有効な短時間充電だが、電池温度への影響を考慮すると長距離移動の際には必ずしも有効であるとは限らないということも考えられる。
今回のロングドライブでは、道の駅象潟における充電が電池温度計がレッドゾーンに入る瀬戸際であった。<図-1>

ここの充電を短時間で切上げて、少し先の日産で再び経路充電した方が充電の時間効率は良くなるはずだが、仮に早く移動しようと高速道路(日本海東北自動車道)を利用していれば電池は冷却されずにレッドゾーンに入っていたと推察される。
結果として昼食で50分間滞在しながら充電したことで電池の温度上昇を最小限に抑えることができた。
電池温度がレッドゾーンに入るきわどい状況では、高速道路と一般道の使い分け、ながら充電の長短が大きく影響する。
気にし過ぎると不安なドライブになってしまうが、こうしたリーフならではの欠陥をユーザーの技で克服するのもドライブの楽しみの一つだとも言える。
2016年09月02日
真夏の長距離走行でも電池温度をレッドゾーンに入れない走り方 3
東北一周2150kmの旅は復路が735kmだった。
往路の約800kmに比べると若干短いが、EVが一日に走る距離としてはかなり長距離だと思う。
一般道は約300kmで残りが高速道路。
電池温度が上がってからの高速道路の走行は電池の冷却が難しくなるが、気温差と日射の影響がない時間帯に走ることで克服できる。
<図-3> ※距離は出発日からの通算距離を示す。

一般道路を走行した300kmは電池温度が低い領域だったこともあり、電池温度は階段状に上昇していった。
会津若松の日産で充電を終えた時点で電池温度は45℃を超え、確実に電池温度を下げなければ次の充電で電池温度計がレッドゾーンに入ってしまう。
往路でも実証しているが高速道路を流れに乗って走ると電池温度はほとんど下がらない。
速度を落とせば電池温度の上昇を抑えられるかもしれないが、磐越自動車のような片側一車線の高速道路もどきの路線では、自分勝手な省エネ走行は迷惑行為でしかない。
速度を落とさずに電池温度を下げるには、日射の影響がなく、さらに気温が低い時間帯に走行する方法がある。
日射によってアスファルトが熱せられると、路面からの輻射熱で電池下部が加熱されて走行風による冷却効果が相殺されてしまう。
また、日が暮れていても都心のように気温が下がらない地域を走ると期待するほど電池温度が下がらないことがある。
高速道路を走行中に確実に電池温度下げるには、走行する時間帯とルートを的確に選択する必要がある。
会津若松から高速道路に乗った時間は午後の5時過ぎ。
気温は30℃を若干切ったくらいで涼しくはないが、日暮れ近くに曇りになってくれたこともあり期待通りに高速走行でも電池温度を下げることができた。
黒埼PAと米山SAでは、それぞれ充電により5℃近く電池温度が上がったが走行中に45℃まで冷却できている。
日没で気温が下がるにしたがって電池の冷却効果は高まってきた。
※電池温度抑制技術 3
・電池温度が高い状況で高速走行するなら、日暮れで気温が低い時間帯を狙う。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
しかし、走行中の電池冷却だけでは限界がある。
充電時間の最短化と併用することで、それ以上の電池温度の上昇を抑える。
※電池温度抑制技術 4
・レッドゾーン直前まで電池温度が上昇してもなお高速道路の流れに乗るためには、日没後でかつ充電時間の最短化を併用する。(妙高SA以降)
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1.電池温度が上がったら日が暮れて路面温度と気温が下がる時間帯に走る。 (温度差で冷却)
2.さらにレッドゾーン寸前でも高速走行を続けるなら充電時間を最短化する。(電池温度を上げない充電)
<日産への要望>
バッテリー容量が初期性能に近ければ充電時間を最短化しても余裕があるが、劣化して容量が減った環境では走行区間の消費電力を的確に見極める必要がある。
リーフのナビに搭載されている消費電力計算機能に、タイヤの性能や気温によるタイヤの転がり抵抗値の変化が反映できるように性能向上を望む。
往路の約800kmに比べると若干短いが、EVが一日に走る距離としてはかなり長距離だと思う。
一般道は約300kmで残りが高速道路。
電池温度が上がってからの高速道路の走行は電池の冷却が難しくなるが、気温差と日射の影響がない時間帯に走ることで克服できる。
<図-3> ※距離は出発日からの通算距離を示す。

一般道路を走行した300kmは電池温度が低い領域だったこともあり、電池温度は階段状に上昇していった。
会津若松の日産で充電を終えた時点で電池温度は45℃を超え、確実に電池温度を下げなければ次の充電で電池温度計がレッドゾーンに入ってしまう。
往路でも実証しているが高速道路を流れに乗って走ると電池温度はほとんど下がらない。
速度を落とせば電池温度の上昇を抑えられるかもしれないが、磐越自動車のような片側一車線の高速道路もどきの路線では、自分勝手な省エネ走行は迷惑行為でしかない。
速度を落とさずに電池温度を下げるには、日射の影響がなく、さらに気温が低い時間帯に走行する方法がある。
日射によってアスファルトが熱せられると、路面からの輻射熱で電池下部が加熱されて走行風による冷却効果が相殺されてしまう。
また、日が暮れていても都心のように気温が下がらない地域を走ると期待するほど電池温度が下がらないことがある。
高速道路を走行中に確実に電池温度下げるには、走行する時間帯とルートを的確に選択する必要がある。
会津若松から高速道路に乗った時間は午後の5時過ぎ。
気温は30℃を若干切ったくらいで涼しくはないが、日暮れ近くに曇りになってくれたこともあり期待通りに高速走行でも電池温度を下げることができた。
黒埼PAと米山SAでは、それぞれ充電により5℃近く電池温度が上がったが走行中に45℃まで冷却できている。
日没で気温が下がるにしたがって電池の冷却効果は高まってきた。
※電池温度抑制技術 3
・電池温度が高い状況で高速走行するなら、日暮れで気温が低い時間帯を狙う。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
しかし、走行中の電池冷却だけでは限界がある。
充電時間の最短化と併用することで、それ以上の電池温度の上昇を抑える。
※電池温度抑制技術 4
・レッドゾーン直前まで電池温度が上昇してもなお高速道路の流れに乗るためには、日没後でかつ充電時間の最短化を併用する。(妙高SA以降)
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1.電池温度が上がったら日が暮れて路面温度と気温が下がる時間帯に走る。 (温度差で冷却)
2.さらにレッドゾーン寸前でも高速走行を続けるなら充電時間を最短化する。(電池温度を上げない充電)
<日産への要望>
バッテリー容量が初期性能に近ければ充電時間を最短化しても余裕があるが、劣化して容量が減った環境では走行区間の消費電力を的確に見極める必要がある。
リーフのナビに搭載されている消費電力計算機能に、タイヤの性能や気温によるタイヤの転がり抵抗値の変化が反映できるように性能向上を望む。
2016年09月01日
真夏の長距離走行でも電池温度をレッドゾーンに入れない走り方 2
自宅から秋田県大館市までの800kmを走行して、電池の最高温度は49.1℃だった。
リーフの電池温度計は52℃からレッドゾーンで表示されるようだから3℃ほどの余裕があった。
<図-1>

高速道路における経路充電はできる限り素早く終えたいから、大容量の充電器で短時間に充電しようとするためにどうしても電池温度が上がってしまう。
ここで重要なのが充電量と温度上昇の関係性だ。
充電初期に比べて後期は充電量が低下する傾向にある。
一方で充電後期でも温度上昇は同じ、もしくは増している。
充電量と温度上昇の関係をグラフにすると図-2になり、時間の経過とともに充電器の出力に対する温度上昇の割合が増していることが判る。
充電量が減っているのに温度は上がってしまっているから、同じ充電量を得るために温度上昇が多くなっている。
すなわち、温度上昇を抑えるには充電時間をできる限り短くする必要がある。
<図-2>

※電池温度抑制技術 1
・高速道路上での充電を必要最小限にすることで電池の温度上昇も極力抑えられる。
-----------------------
往路は電池温度が低い時間帯に高速道路を走行するから電池温度の上昇が激しくなる。
図-1のグラフからも分かるように高速道路を時速90キロで走行すると走行中の電池温度はほとんど下がらない。
気温との差が少ないと電池温度は上昇してしまう。
細かく見ていくと、電池温度と気温の差が16℃以下では電池温度は下がっていない。
17℃差を超えると若干だが電池温度が低下しているが焼け石に水程度にとどまっている。
特に日差しが強く、路面が熱せられている高速道路上ではアスファルト表面からの輻射熱でバッテリーが直接加熱されるから空冷の効果を相殺してしまうと考えられる。
炎天下の日中における高速走行は冷却効果を期待できない。
一方で、一般道の走行では電池温度が下がっている。
道の駅象潟から先は気温が30℃を超えてエアコンも常時稼働していたが電池の温度は目覚ましく下がっている。
電池温度を下げるにはモーターへの負荷を減らしつつ、気温と電池の温度差を利用することが重要だとわかる。
※電池温度抑制技術 2
・高速走行中は電池温度は下がりにくいから、電池温度が上がったら一般道を走行して電池温度を下げ、下がってから再び高速道路を走行する。
-----------------------
往路で電池温度を上げないために採用した対策は、
1.高速道路の経路充電は、バッテリーをできる限り使い切ってから、必要最小限の充電量にとどめる。
2.それでも猛暑の環境では600kmあたりでレッドゾーンに入る可能性が高くなるために、そこから先は一般道と高速道路を組み合わせる。
リーフの電池温度計は52℃からレッドゾーンで表示されるようだから3℃ほどの余裕があった。
<図-1>

高速道路における経路充電はできる限り素早く終えたいから、大容量の充電器で短時間に充電しようとするためにどうしても電池温度が上がってしまう。
ここで重要なのが充電量と温度上昇の関係性だ。
充電初期に比べて後期は充電量が低下する傾向にある。
一方で充電後期でも温度上昇は同じ、もしくは増している。
充電量と温度上昇の関係をグラフにすると図-2になり、時間の経過とともに充電器の出力に対する温度上昇の割合が増していることが判る。
充電量が減っているのに温度は上がってしまっているから、同じ充電量を得るために温度上昇が多くなっている。
すなわち、温度上昇を抑えるには充電時間をできる限り短くする必要がある。
<図-2>

※電池温度抑制技術 1
・高速道路上での充電を必要最小限にすることで電池の温度上昇も極力抑えられる。
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往路は電池温度が低い時間帯に高速道路を走行するから電池温度の上昇が激しくなる。
図-1のグラフからも分かるように高速道路を時速90キロで走行すると走行中の電池温度はほとんど下がらない。
気温との差が少ないと電池温度は上昇してしまう。
細かく見ていくと、電池温度と気温の差が16℃以下では電池温度は下がっていない。
17℃差を超えると若干だが電池温度が低下しているが焼け石に水程度にとどまっている。
特に日差しが強く、路面が熱せられている高速道路上ではアスファルト表面からの輻射熱でバッテリーが直接加熱されるから空冷の効果を相殺してしまうと考えられる。
炎天下の日中における高速走行は冷却効果を期待できない。
一方で、一般道の走行では電池温度が下がっている。
道の駅象潟から先は気温が30℃を超えてエアコンも常時稼働していたが電池の温度は目覚ましく下がっている。
電池温度を下げるにはモーターへの負荷を減らしつつ、気温と電池の温度差を利用することが重要だとわかる。
※電池温度抑制技術 2
・高速走行中は電池温度は下がりにくいから、電池温度が上がったら一般道を走行して電池温度を下げ、下がってから再び高速道路を走行する。
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往路で電池温度を上げないために採用した対策は、
1.高速道路の経路充電は、バッテリーをできる限り使い切ってから、必要最小限の充電量にとどめる。
2.それでも猛暑の環境では600kmあたりでレッドゾーンに入る可能性が高くなるために、そこから先は一般道と高速道路を組み合わせる。