2009年04月27日
・信毎のゴミ処理記事はグッドジョブ

自民党の要職を担う現在では、自民党政権の支援に寄与しようと保守的な姿勢が目立つ。
田中前知事を必死になって引き摺り下ろし、村井知事を誕生させた後には県民の無関心を引き出す。
総論では小坂一族の思いのままに動いている。
しかし、個々の記者が書く記事には、キラリと光るものもある。
紙面全体の流れは小坂社主の偏見に基づくが、記者のすべてが染まっているわけではないようだ。
本日27日朝刊の「進まぬごみ処理広域化」はグッドジョブだ。
ごみ焼却場を集約して大型化する国の方針通りに、地域が対応できていない現状をしっかりとルポしている。
焼却場から発生するダイオキシンを極限まで低減させるために、過剰なまでの大型化が目指された。
有害物質が減るのはいいことだが、必要とされるレベルをかなり超越した過度で性急な対策は、はっきり言って拙速だった。
さらに、経済成長は右肩上がりで続き、ゴミは増え続けるとされた計画の根幹が間違いだったことは明らかだ。
国の計画の背後に、高温焼却炉に事業転換を見据えた鉄鋼大手の姿が見え隠れしている。
純粋な環境施策としてごみ焼却場の集約化、大型化が進められたのではないことは知る人ぞ知る。
ゴミ処理を本当に重要な環境課題として取り組むならば、集約して大型化するのは見直すべきだ。
地球温暖化対策の自然エネルギーを例にとって見れば分かりやすいが、太陽光発電のようにエネルギー需要のある場所で需要に応じて発電する分散型が求められている。
集約化することで搬送のエネルギーロスが問題となるからだ。
ゴミ処理の対象地域を広域化すると、ゴミを積載したトラックが長距離移動を強いられる。
二酸化炭素の排出の多くを占める運輸部門の削減が阻害されてしまう。
焼却施設の性質上、ある程度の集約は必要だとしても、集約化のメリットと広域化することで生じるデメリットのバランスを考慮して対象地域を見直すことが求められる。
不幸中の幸いで、駒ヶ根を含む上伊那広域連合のごみ焼却施設は、用地選定で足踏み状態が続いている。
非科学的な用地選定の手順に候補地の住民が納得しないからだ。
用地選定に向けられた努力は認めるが、求められたのは努力ではなく説得力だったことに行政の担当者は気がついていなかった。
施設規模も当初の計画と現状および将来予測は大きな食い違いを発生させてしまっている。
用地決定に足踏み状態が続いている今、並行して最新の知見を加味した見直しの検討を事務局レベルで進めるべきだと思う。
こういう基礎的な研究は、性急に住民に公開すると無用な混乱を生じるが、既存計画の方向修正を機敏に判断できる基礎資料としてとても重要だ。