2008年04月22日

・ごみ処理用地選定の点数に問題

調査対象地で事務局から説明を受ける委員 伊那毎日新聞上伊那広域連合の新ごみ中間処理施設の建設地を決定する伊那市の用地選定委員会は、候補地の判断に32の点数評価項目を設けています。

恣意的な選定を防ぐために点数化は有効な手段ですが、大事なのは点数に恣意的な配分がないことです。


残念なことに、同委員会の点数付けには「科学的で定量的」な裏づけがありません。

詳細評価項目は全体で32項目あり、環境保全は希少生物の分布状況や住宅群までの距離、交通量など20項目、330点。

建設関連は用地面積や幹線道路までの距離、近隣の活断層分布状況、用地取得・造成費など12項目、270点。


それによると、概算で環境関連項目は最高百点、最低マイナス40点で平均は11点。

建設関連項目は最高130点、最低40点、平均91点。

ざっと見たところでは、建設関連項目の平均が高く、評価に対する影響が大きいと考えられます。


この評価の一番の問題点は、基準が「相対評価」となっていることです。

言い換えると、重大な影響と些細な影響が同列で論じられてしまっています。

委員の頭の中では同列かもしれませんが、科学的には桁違いの影響が考えられるものもあります。


『環境リスク』という考え方ですが、絶対的な評価基準(たとえば人の命=寿命)を共通項として評価項目に配点することで、「頭の中」の恣意的な相対評価を避けることができます。

絶対的な基準がない数値評価は、単なる算数の足し算引き算に過ぎず、結果が科学的説得力を持ちません。

足し算割り算ではなく、掛け算割り算にする必要も考えられますが、そうなると結果はまったく異なります。

説得力がない選定根拠で選ばれた候補地は、最終的には関係者の説得力で障害を取り除いていかなくてはなりません。


用地選定の点数評価は有効な反面、評価の専門家不在でやった場合には「労多くして益少なし」に陥ってしまいます。

関係者の苦労には敬意を表しますが、「井の中の議論」に終わらせないための、『定量的な評価基準』の有効性について、さらに踏み込むべきでしょう。

最終判断を下す前に、専門家の指導を仰ぐべきだと思います。

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Posted by komachan at 09:15│Comments(0)社会問題
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