2014年12月02日

新発想!「街灯」がEVの充電スタンドに変身

EVのデメリットは航続距離の短さと、充電時間の長さだと思われています。
距離はバッテリーの進化によって実用十分なレベルに数年後には達すると見込まれています。

一方で充電時間ですが、ガソリン車と同じ発想にとらわれているからデメリットになってしまうわけで、EVならではの新たな発想が求められます。
その方向性を示しているのがこの記事です。

新発想!「街灯」がEVの充電スタンドに変身 東洋経済オンライン

街灯を充電スタンドに利用するという優れたアイデアです。
うるさいことを言わなければ、街灯は道路があれば必ずと言っていいほど存在するからどこででも充電できる。
道路に限らず駐車場でも。

新たに充電スタンドを作ろうとすれば配電工事が必要だが、街灯ならすべて揃っている。
15Aの電流を安定して流せる電線を用いればよいだけだからコストアップも大したことはない。

合理的なドイツ人ならではの発想転換ですが、日本のお役人の頭が少し柔らかくなればすぐにでも導入可能です。
近い将来には、駐車中にエネルギー補給できることがEVのメリットとして注目されるでしょうね。
  
Posted by komachan at 07:16Comments(0)EV

2014年12月01日

EVのオプションに電動スケボー



リーフのトランクに積んでおけば、充電中に出かける範囲が飛躍的に広げられます。
充電終了5分前に戻って来るまでの25分間に歩きだと片道1kmですが、これを使えば5km先まで気軽に行ける。

日産の営業時間内ならキーを預けて充電時間をさらに有効に使えるようになりますね。
まあ、現状だと折り畳み自転車が妥当な選択かもしれませんが。

《出典》
手で運べる電気自動車 GoGoEV

●参考ウェブサイト:
-Boosted Boards
-Boosted Boards Rolls on FundersClub

《法令》
平成14年11月 警察庁交通局 
いわゆる「電動キックボード」及び「電動スクーター」について
  
Posted by komachan at 20:37Comments(0)EV

2014年11月20日

自動車が先か、充電器が先か

日経テクノロジーオンラインが提供するEVに関する連載記事の質が高い。

第1回 ノルウェーはなぜ電気自動車普及に成功したのか
第2回 天然ガス車で失敗したニュージーランド、成功したアルゼンチン
第3回 「一石三鳥」で電気自動車/プラグインハイブリッド車普及に成功したオランダ
第4回 電気自動車と充電器、どちらの普及を先にすべきか明らかにした日本の試験
※記事全文を読むには登録が必要です。

第4回はEV普及のカギを握る充電施設について論じています。
「急速充電器を狭いエリアに多数設置し、設置前と設置後でそれぞれEVの走行パターンを観察したところ、驚くべき変化が現れた。それまで月間200km程度だったEVの平均走行距離が、大幅に伸びたのだ。その距離、なんと1500km。」
「EVの電池残量(SOC)の平均が下がったのだ。充電器が少ないうちは、電欠(走行中に電池切れになること)を恐れて常に満充電を心がけていたのに対し、急速充電器が多数設置されたことによって、電池残量を気にする必要がなくなった。」

東京電力が急速充電器の普及効果を検証した実験結果ですが、電欠の心配が薄れることによって距離が伸び、バッテリーの使用領域が下がる(少ない残量まで使い切る)。

充電インフラが少ないと、目的地が遠くなるほどに綿密なプランニングが必要になる。
行き当たりばったりでも何とかなるが、無駄な時間が増え、電欠でレッカー移動を経験する羽目になってしまう。

充電インフラが現在のガソリンスタンド並みになると、「そろそろ減って来たな」と思ってから最寄りの充電施設へ立ち寄る程度の感覚になり、気軽に出かけられるようになる。

しかし、現在の充電施設計画は目的地充電が疎かになっています。
スタンド型の充電ケーブルが付属した高価な充電器でなくてもいいから、圧倒的に低コストの200Vコンセントを滞在時間が長い宿泊、娯楽、観光の各施設に設置を促すべきだろう。

記事が指摘している通り「充電インフラ投資のベストミックス」が2015年度の課題になると思います。
EVユーザー自身も、出掛けた際に立ち寄り先に「コンセントがあると便利なんですよ」と意識付けするための一言も大事ではないでしょうか。

うちのリーフは年末までに日常の通勤とは別に1500kmほどを二度に分けて四泊でドライブする予定ですが、そのうちの三泊は宿泊先で充電します。
専用充電器は一か所だけで駐車場近くの屋外100Vコンセント利用が二か所です。
新たに設置するのは面倒でも、100Vを200Vにするのはそれほど難しくないので働きかけやすい。  
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2014年11月19日

FCVの可能性 水素で蓄電

トヨタのFCVが実質520万円で市販される見込みとなりました。
現状だと走行用エネルギー源の水素はガスから取り出す方式が有力ですが、近未来は太陽光発電の電気で水を電気分解することで得られるようになりそうです。

「東芝、「究極のエコ技術」開発 太陽光発電で水から水素 朝日新聞2014年11月13日」
http://www.asahi.com/articles/ASGCF5GMNGCFULFA01H.html?iref=reca

こうなるとFCVは電気エネルギーで得た水素で発電してモーターで動く車だから、水素で蓄電するEVということになる。
エネルギー効率がどの程度になるのか不明ですが、自動車のエネルギーを自給自足することが可能になるかもしれません。

ガソリンエンジン車の次は電気自動車の時代が来ることはほぼ確定的ですが、電気エネルギーを貯蔵し運搬する技術は未完成です。
ガソリンにとって代わるエネルギー媒体の一つとして有望なものが水素でしょう。

現在主流のリチウムイオン電池、各方面で研究が進む次世代電池、さらに水素(発電)電池も加わって、しばらくは混迷が続きそうです。
FCVの発売、普及に向けて世界のトヨタが舵を切ったとすれば、ガソリンに代わるエネルギー媒体を国が水素に定めたということかもしれません。

水素インフラの普及には難題が山積していますが、やがては克服すると思われます。
当面はリチウムイオン電池ですが、、次が次世代型電池とFCVの争いとなり勝者がどちらになるか。
技術力で決まるか、政治力で決まるか。
ユーザーとしては両者が融合してくれるのが一番ありがたいのですがね。  
Posted by komachan at 08:32Comments(0)EV

2014年11月15日

燃費(電費)を決める要因 1.走行抵抗 (5)回転部の摩擦抵抗

自動車には、タイヤ以外にも車軸などの回転部品が多数あります。
回転部品が接触している場所では熱が発生するためにエネルギー損失が生じ、これを摩擦抵抗といいます。

エンジンや変速装置を搭載するガソリン車に比べるとモーターで駆動するEVは摩擦が生じる部品数が少ない。
主な摩擦抵抗にはドライブシャフトと軸受けがあります。


日産リーフは車体内部の回転部の摩擦による抵抗は非常に少なくなっており、ユーザーが意識する必要はほとんどありません。
摩擦が少ないことにより静かな走行環境も得られます。
部品が接触する → 摩擦が生じる → 熱と音が出る、です。

電力消費シミュレータの開発段階ではモーターコントローラー効率を含めても一割程度であると見込まれ、回転部分の摩擦抵抗だけを抜き出せばわずかな影響にとどまっていると推測されます。

《まとめ》

【摩擦抵抗】
 回転部に発生する抵抗で、走行抵抗全体に対する車両駆動系伝達効率として算入する。
 P = (1/η)uF
 P : 電池の出力
 η : 車両駆動系伝達効率
 u : 車両速度
 F : 走行抵抗  
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2014年11月14日

燃費(電費)を決める要因 1.走行抵抗 (4)坂道での勾配抵抗



自動車には地球の重力が働いているので、低いところから高いところへ移動すには重力に逆らう必要があります。
これに伴って得られるのが位置エネルギーです。

上り坂で位置エネルギーを得るために、EVは平坦路に比べてより多くの電力を消費します。
重いものを高く持ち上げるほどにエネルギーが必要で、これが勾配抵抗として表されます。

急こう配だと燃費(電費)が悪くなるのは角度そのものによる影響ではなく、同じ走行距離ならより高く上るからです。
厳密には高負荷によりモーター効率が低下する影響もありますが、通常走行では無視できる範囲です。

勾配抵抗で得られた位置エネルギーは、下り坂では走行エネルギーとして利用できます。
この時、走行抵抗で相殺すると最も効率よく位置エネルギーを回収できます。
言い換えると、惰性で走ったほうが無駄がないということです。

ブレーキを使うと発熱でエネルギーが失われます。
回生ブレーキを使った場合でも発電効率によるロス、機械ブレーキ併用によるロスで20%~70%が熱として失われます。

(回生イメージ図)

通常の道路は起伏が連続しているので、惰性を活かす走り方と、ブレーキ(回生を含む)を常用する走り方では燃費(電費)に違いが出ます。


《まとめ》

【勾配抵抗】
 登坂の際に発生する抵抗で、車体総重量と勾配による移動高さに関係する。車速には関係なく一定である。
 Re = Wsinθ
 Re : 勾配抵抗(kg)
 W : 車両総重量(kg)
 θ : 坂道の傾斜角度

資料画像:フリー素材集(http://freesozai.jp/itemList.php?category=roadsign&page=rds_092&type=sozai
  
Posted by komachan at 14:35Comments(0)EV

2014年11月13日

燃費(電費)を決める要因 1.走行抵抗 (3)空気抵抗


燃費に関するノウハウで「空気抵抗は速度の二乗に比例する」というものを目にすることがあります。
日産リーフの時速40キロの空気抵抗は1.2kWhですが、時速100キロだと6倍以上の7.4kWhまで増加します。(※1)

しかし空気抵抗が消費電力全体に占める割合は速度によって変わるので、実際の変化はそれほど劇的ではありません。
40km/hと100km/hを比較すると消費電力は1.9倍の増加に止まります。
高速道路を100km/hで走っていると全消費電力の57%を空気抵抗が占めますが、一般道を40km/hで走ると空気抵抗の割合は17%まで下がるからです。

平坦で渋滞の無い道路ならこの程度ですが、起伏があり信号が多い渋滞路では空気抵抗が占める割合はさらに下がります。
東京→小田原を例に空気抵抗が消費電力に占める割合を試算すると
高速道路を時速100キロ 56%
一般道を時速40キロ 7%
市街地の一般道路では空気抵抗以外の諸条件による消費電力が増え、結果として空気抵抗の影響が無視できるほどまで小さくなってしまいます。


空気抵抗には気温も影響します。
気温が下がると空気が重くなるので空気抵抗が増えます。
気温が30℃から0℃に下がると、空気抵抗は12%も増加します。

窓を開けても空気抵抗が増します。
全開にすると約3割大きくなるという例があります。(※2)
時速40キロだと走行抵抗は5%の増加にとどまりますが、時速100キロだと16%も増加します。

気圧の変化も空気抵抗に影響します。
台風の低気圧(960Pa)と強い高気圧(1060Pa)では、空気抵抗に10%の差があります。
高気圧の方が空気抵抗が大きいので、一概に「天気が良いと電費が良くなる」というわけではないようです。

湿度の違いも空気抵抗に若干の影響が生じますが、乾燥状態(湿度20%)と雨天(湿度100%)でも1%の差です。


《まとめ》

【空気抵抗】
 車体表面の空気との摩擦により発生する抵抗で、車速の二乗に比例する。時速70キロを超えるころから顕著に影響が出る。
 Ra = λSV^2
 Ra : 空気抵抗(kg)
 λ : 空気抵抗係数(kg・sec2/m4)
 S : 車両前面投影面積(m2)
 V : 車両走行速度(km/h)


《注記》
記載内容、試算数値は随時変更します。
※1:走行条件は、メーター読み速度、気温20℃、一名乗車、乾燥した平坦路、純正タイヤ、車内機器電力7w/km
※2:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1343333458

資料画像:「低燃費タイヤ等普及促進協議会」(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/data/g90126bj.html
「資料3 タイヤが自動車燃費に与える影響について」を加工して作成。
※経済産業省の利用許諾済  
Posted by komachan at 09:00Comments(0)EV

2014年11月12日

燃費(電費)を決める要因 1.走行抵抗 (2)転がり抵抗

自動車が移動するためには、いろいろな部品が回転するので、そこで転がり抵抗が発生します。
主な転がり抵抗の要因は、
・タイヤの変形
・路面とタイヤの接地面との摩擦

タイヤが受ける空気抵抗を含めても、転がり抵抗へのタイヤの変形による影響は9割にも及ぶので、他の要因はほとんど無視できます。


なぜ、タイヤの変形が転がり抵抗の主要因になるのか?
自動車のタイヤは走行中、常に変形させられているからです。

アリがちな誤解の一例として「堅いタイヤは変形しにくいから燃費が良くなる」というのがある。
タイヤが完全な剛体なら、そうなるはずですが、実際は画像のように変形しているから「堅いタイヤほど変形しにくいからエネルギーロスが多くなり燃費が悪くなる」です。


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タイヤがどの程度燃費(電費)に影響するかというと、
一般的に燃費の良い運転ができるとされる信号や渋滞の無い快適な状態でドライブしていると、1/4はタイヤで燃費が決まってしまっている。


タイヤの転がり抵抗を減らすには低燃費タイヤの装着が手っ取り早いが、日頃の空気圧の管理を怠ると台無しです。
空気圧は自然に減るし、気温が下がればさらに減ります。
夏から冬へと季節が変わってもタイヤの空気圧を点検調整しなければ、燃費(電費)は5%悪くなる。
20kWhほどのエネルギーで走るEVだと1kWhに相当します。


転がり抵抗、転がり抵抗係数の関係を図示します。


《まとめ》

【転がり抵抗】
車輪がころがる際に生ずる路面との接触によるタイヤの変形エネルギー損失により発生する。ころがり抵抗係数と車両総重量に比例するが、車速には関係しない。
 Rr = Wμ
 Rr : 転がり抵抗(kg)
 W : 車両総重量(kg)
 μ : 転がり抵抗係数


○資料画像:「低燃費タイヤ等普及促進協議会」(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/data/g90126bj.html
「資料3 タイヤが自動車燃費に与える影響について」を加工して作成。
※経済産業省の利用許諾済  
Posted by komachan at 07:37Comments(0)EV

2014年11月11日

燃費(電費)を決める要因 1.走行抵抗 (1)加速抵抗

市街地や郊外で自動車を運転すると発進と停止を繰り返します。
この時に生じるのが加速抵抗です。
停止状態から定速まで速度を上げるために必要なエネルギーです。


逆に定速から停止状態までに得られるのが減速による回生エネルギーです。
EVやハイブリッド車は回生ブレーキにより減速でエネルギーを回収します。
しかし、回収効率は良くても7~8割、機械ブレーキ併用だと3~4割まで下がってしまうので、この差が加速抵抗として残ります。

(回生イメージ図)

加速と減速を繰り返す回数が多くなるほど、回収できなかった加速抵抗が加算されます。
信号や渋滞だけでなく、曲がりくねった峠道でもカーブの手前で減速し、その後加速という操作を繰り返すので加速抵抗が生じます。

加速抵抗をほとんど回収する方法もあります。
減速時にエネルギー回生を行わずに自然減速させると最も回収効率が良くなります。
判りやすく言えば、惰性で走ったほうが回生ブレーキを使うよりも効率が良いということです。

ところで、リーフはマイナーチェンジによって航続可能距離が14%向上しましたが、回生ブレーキの性能向上が大きく貢献しているようです。
日産では公開していませんが実車による走行データーの比較から、マイナーチェンジで10%以上の回生量増加となっているようです。

《まとめ》

【加速抵抗】
加速する際に発生する抵抗で、加速度及び車両重量に比例する。
 Rc =b/g(W+ΔW)
 Rc : 加速抵抗(kg)
 b : 加速度(m/sec2)
 g : 重力の加速度(m/sec2)
 W : 車両総重量(kg)
 ΔW:駆動機構の回転部分の慣性相当重量(kg)


○資料画像:「低燃費タイヤ等普及促進協議会」(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/data/g90126bj.html
「資料3 タイヤが自動車燃費に与える影響について」を加工して作成。
※経済産業省の利用許諾済  
Posted by komachan at 07:42Comments(0)EV

2014年11月10日

燃費(電費)を決める要因 1.走行抵抗とは

自動車が走るために必要なエネルギー効率を一般的には燃費、EVでは電費と称しますが、その仕組みについてEV電力消費シミュレーターの開発で得られた情報を自分なりにまとめようと思います。
第一回は、走行抵抗の概要について。

-----------------------
自動車の走行時には、
・速度を増すことによる加速抵抗
・タイヤの変形に伴う転がり抵抗
・空気抵抗
・坂道での勾配抵抗
・回転部分の摩擦抵抗
が作用し、これらの走行抵抗に打ち勝つために動力が使われます。


平地での定速走行時に作用する抵抗は、主に転がり抵抗と空気抵抗です。
低速では空気抵抗は小さく、タイヤの転がり抵抗の寄与が大きくなります。
しかし、空気抵抗は速度依存性が大きく、大体70 km/hを超えると走行抵抗への寄与は逆転するようになります。

10・15モードでの走行抵抗への寄与の構成※1は
・加速抵抗60%
・転がり抵抗20~30%
・空気抵抗5~10%
となっており、動力の大部分は加速に費やされています。

より日常の走行に近づけたJC08モードで寄与の構成※2は
・加速抵抗が54%
・転がり抵抗が23%
・空気抵抗が15%
・その他が8%
とされています。

加速抵抗の割合の大きさから、市街地や郊外での走行はアクセルとブレーキの使い方が燃費(電費)に大きく影響していることがわかります。

○参考資料 
※1タイヤと燃費 - 日本ゴム協会 豆知識
※2ブリヂストン、「断トツの低燃費を実現した」新コンセプトタイヤ説明会 2013年3月5日発表

○転載画像:「低燃費タイヤ等普及促進協議会」(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/data/g90126bj.html
「資料3 タイヤが自動車燃費に与える影響について」を加工して作成。
※経済産業省の利用許諾済  
Posted by komachan at 11:51Comments(0)EV