2010年03月11日
・沖縄の基地移転を松本空港で負担

予測を上回ったのは羽田などわずか8空港で、国や地方自治体の甘い需要予測が、空港乱立を招いた実態を改めて浮き彫りになった。
予測を下回った空港のうち達成率が最も低かったのは北海道の紋別で、17年度予測の37万1千人に対し実績は12・9%の4万8千人だった。
94年に滑走路を延長した長野県の松本空港はワースト5入り。
05年には35万5千人あるはずの需要予測が、平成20年度の実績では6万1千人と17.2%にとどまる。
過大な需要予測が県民に大きな負担を強いている。
松本空港の名誉のために、少しくらいは持ちあげておこう。
県が2000年に発表した実績では、18万1千人と需要予測の半分には達していた。
しかし、この時点でも過大予測を是正するつもりはなく、2007年には新規路線が開設して33万1千人に達する予測を立てている。
懲りない面々だ。
この予測はさらに右肩上がりが続くとして、2037年には66万7千人もの乗降客を得られるとしている。
2010年の現時点では、廃港の危機に立たされているというのに。
需要予測がいかに当てにならないか、途中の検証もいい加減であることがわかる。
県の予測には2パターンあって、既存路線のみを継続する場合と新規路線の開設を見込む場合だ。
路線縮小が念頭にない。
甘いというか、気楽なお役人の考える机上の空論でしかない。
松本と同じように日本に乱立する空港は、自民党政権の負の遺産だ。
採算は度外視して、空港建設で経済効果を上げようと目論んだなれの果てだ。
地方自治体は赤字が出ても住民が負担すればいいことで、初期投資で利権が潤えば目的が到達できると喜んだ。
民主党お得意の事業仕分けでバッサリやるのがいいだろう。
離島などの他の交通手段確保が困難なところは除いて、コストパフォーマンスが著しく低い空港は廃港にするべきだ。
ワースト10くらいまでは、早急に国の援助は打ち切ってもいい。
それでも存続させたければ、空港所在地の市民や産業界が負担して存続の道を選択させる。
県単位で負担するのは論外だ。
空港は一部の利益に限られるからだ。
松本空港を例にとれば、南信の我々には無用の長物でしかない。
県が多額の税金を投入するというのなら、公益をさらに重要視してもらいたい。
沖縄の負担軽減に名乗りを上げるのだ。
松本空港に米軍基地の移転を受け入れるという英断があってもいい。
沖縄だけに負担を強いるのではなく、日本全国の自治体が広く応分の負担を申し出るには、赤字空港の存在がもっとクローズアップされるべきだろうと思う。