2007年09月27日
・始めに溶融施設ありきのごみ処理

燃やせるごみを品目別に分類し、生ごみと紙類が全体の7~8割占めていることから、これらを減量することで施設規模を小さくする方向で議論が進められています。
ところが、上伊那広域連合議会では、燃やせるごみ以外の下水処理汚泥などを「溶融処理」することを盛り込んだ処理方式を承認しています。
●上伊那広域連合、ごみ処理基本計画に伴う最終処分場と下水道汚泥の処理についての方針を示す
処理対象となるごみの減量化を進めた結果に対して、適正な規模と機種を選定するのが「ごみ処理基本計画推進委員会」の基本方針のはずですが、議会ではすでに溶融処理を前提とした方針が決定しているという、矛盾が露見しました。
●第4回上伊那広域連合ごみ処理基本計画推進委員会 新ごみ中間処理施設の燃やせるごみ以外の処理対象物の検討、次回へ
この矛盾は、溶融処理施設では規模を小さくできない問題点があります。
燃やせるごみの減量化を徹底した結果、小型の焼却炉の使用が可能になった場合でも、溶融処理をするためには一回りも大きな施設を作らなければなりません。
言い換えれば、施設規模に応じたごみを集めなければならなくなり、住民のごみ減量の努力が無駄になってしまいます。
「はじめに溶融処理ありき」の広域連合議会の方針と、「処理方式は白紙」として進められている基本計画推進委員会の論議。
上伊那広域連合事務局がこの矛盾をどのように説明するのか、今後の説明責任が問われます。
さらに、医療系廃棄物、最終処分場の掘り起こし残渣、公共下水道汚泥など、現在は焼却処分されていない新たな「溶融処理」の必要性に対しても、明確なコスト比較、社会的状況の定量的な分析が不可欠です。
「もうじき、大きな焼却炉ができるから、何でも燃やせて楽になる」
ごみ処理の現場では、このような共通認識がされているようです。