2007年04月16日
・国力と貿易黒字

朝食をとっていた中学一年の娘が、
「日本はアメリカとの貿易が黒字なんだって、
だから貿易摩擦が起こっているんだよ」
すかさず、小学四年の娘が、
「黒字って何?、貿易摩擦ってどうしたら起こるの?」
なんだか子供らしくない話題だけれども、
「社会」を考えるのは、子供のうちから練習しておいて損はないと思います。
アメリカとの貿易摩擦は自動車が顕著だと思いますが、日本のアメリカに対する貿易黒字の6割は自動車といわれています。
しかし、自動車生産は平均的な国家における地理的な環境に左右されずに、純粋に技術力が高い方が優位に立てる点で公平だと思います。
一方、農業生産物は地理的な環境に大きく影響される点で、自動車産業とは趣が異なります。
穀物に関しては、日本はアメリカに対して明らかに赤字ですが、これは日本とアメリカの地理的な違いがあって、容易に覆すことは困難です。
日本の穀物自給率は24%(2004年)と極端に低い。
農業生産物の貿易自由化がもたらした弊害の結果ですが、貿易額の均衡からすれば必要だったとしても、
自立した国家としての国力としては、大きな欠陥ではないでしょうか。
貨幣経済の価値観で判断すると、つじつま合わせはできても、地球環境・地域環境を判断基準にすれば、抜き差しならない事態を招いている。
トウモロコシなどの穀物は、エネルギー作物として新たな価値が生まれつつあるので、農業生産を食料自給の観点からだけで見ていると、
日本の国力は、今よりもさらに弱体化してしまうのではないでしょうか。
朝めし時の子どもの会話から、世の中に憂いを感じます。